記憶バッファが少ない人々

一言でいえば、世界中の人が「三つまでしか覚えられない状態」と、いうこと 記憶というものは、完全に直列的なものだ。見たもの、聞いたもの、触れたもの、感じたもの。
全ては「それがあった」という情報に置き換えられて積み木のように重ねられてゆくだけのものだ。そして、重ねられる量には限界がある。そして、その限界まで来ると最初に積まれた記憶は何処かへと消え去る。次を記憶すると、さらにさっきの一つ上の記憶が消える。これらのシステムを記憶バッファという。この消える順を変更する事は不可能だ。それが世界の法則だから。重量の向きを変える事ができないように、それは決定事項なのだ。〜な感じ。程度の記憶も完全に残らない。
 このバッファを利用できるか、出来ないかは、その記憶バッファを持つ者次第だが。知能の高い生物なら、重要な事項を紙に書いておいて、それを見る事で新しい記憶部分にそれを積むなどできるだろう。
 記憶バッファは世界ごとに設定してあり、この世界ではとても短い記憶バッファが設定されている。これは世界単位で共通したものなので、個人で忘れっぽいとか、覚えがよいとかはまた別問題だ。さっきも書いたが、それは記憶バッファを持つ者よりけりである。
 さらに、ここではそのシステムが完全に理解されている。各人が考えて記憶バッファを利用できる。
 そんな中で起こる、殺人事件を描く。