Monster Hunter: World

クリア。
大型拡張のアイスボーンはやっていないが、とりあえずHR100で開放されるもの以外は全フリークエストをクリアした。
今回はプラットフォームがPS4orPCになったこととナンバリングが外れて一新された作品ということで、良い方向に大幅に変化がある作品だった。



一番大きいのはフィールドがシームレスになったこと。大型モンスターの挙動がうまく調整されているので、シームレスである面と旧作の一定時間ごとにフィールド移動してメリハリがつくという面がうまく共存できたバランスになっている。また音楽も敵と戦っているときには激しく、敵を追跡しているときには次の戦いを予感させるように戦闘状況によって刻々と変わっていくのが素晴らしい。
ペイントボールを廃止した痕跡システムはいいのだが、「痕跡すらどこにあるかわからない」という状態は存在しなくていいんじゃないかと思った。千里眼の薬がシステムから消えてフィールドも広くなっているので下手すると旧シリーズより迷う。
あとフィールドは必要以上に複雑にしすぎた結果、プレイヤーが理解できる複雑さの限界を超えてしまって逆に「単に導蟲についていくだけ」という単純な選択肢以外が取りづらくなっているように思う。ワイヤーアクションや翼竜を利用したショートカットはあるにはあるが、ちょっと間違えると違った方向に迷い込んでしまって素直に導蟲についていったほうが早かったということになりかねない。また、導蟲自体が初登場で調整不足ということはあるかもしれない。飛行移動するモンスターに対して右往左往するのに、「移動してきた方向」も光るのでどっちに行くべきか分からなくなったり、たまに行方不明になって、画面切り替えで呼び出しなおすという馬鹿げた手順が必要だったり。またアイテムや痕跡のマーキングが遅く、マークが付いた時点ですでにそこを走りすぎているケースが多々ある。
あとモンスターが足を引きずって逃げるとき、マップのシームレス化で延々と攻撃されないようにするためか、瀕死のモンスターがやたら早く歩いて逃げていくのはどうかと思った。

戦闘面ではスリンガーという、フィールドアイテムをそのまま戦闘に使える要素を組み込んだことが大きな変更点。全武器で遠くの敵にちょっかいを出せるようになった。敵が強力なスリンガー弾を落とすのはちょっとゴッドイーターっぽい。
アイスボーンで評判が悪いクラッチクローはともかく、色々伸びしろがあるシステムだと思う。
メインの戦闘部分は細かいブラッシュアップがされた程度であるが、逆に言ってそれは完成されているということであり欠点ではない。
キャンプで武器交換や食事ができるようになったのも素晴らしい進化だが、アイテムBOXにまでアクセスできるのはやりすぎだったと思う。過去シリーズでは所持アイテム数上限による回復アイテムも含めた総体力が決まっていたため、それが良い制限になっていた思うが、そこが崩壊して無限に回復薬が取り出せる。それにともなって「調合分の回復アイテム」をなどをアイテム枠に入れるかどうかのトレードオフ要素がかなり弱くなってしまっている。
まあ無限アイテムが嫌ならプレイヤー自身が制限をかければいい話ではある。
あと地味に咆哮の発生点が口に統一されたのはいい。過去作では咆哮の音源が口のタイプと音源が足元のタイプが混在してわけがわからなかった。……と思ったらドス古龍の咆哮音源が足元であった。いやまあ足元のほうがガードしやすくはあるんだけどさあ……。

砥石や採取用アイテムなど、それを持っていくかどうかの選択肢が事実上存在しないようなアイテムは、アイテム枠を消費しない残量無限アイテムとして常備できるようになったのがゲームメカニクス的に美しい。また採取などのアクションが早くなったのは歓迎すべき変更。ただ、クエスト終了直前に採取行動を始めているのにアイテム入手できない無意味なストレスは改善されていない。
食事がクエスト開始後に行えるようになったのは素晴らしい変更だが不満もいくつかある。
キャンプ飯を使わせるために拠点の食事場をわざと遠くしたのではないかという悪意を感じる。あと、上位でモンスターの目の前にランダム着地すると、目の前に敵が居るのに飯を食いにキャンプへ往復しなければならなかったり、分断柵タイプの闘技場にキャンプ食事場が無かったりと、いまひとつちぐはぐな感じがある。
あとは「モンスター研究所」という弱点などの攻略情報が得られる施設が追加され、これは心意気としてはいいと思ったのだが、何度も倒さないと情報が開示されないので、ライトユーザは情報が開示されるほどやりこまないので無意味、ヘビーユーザーは結局PCとかでwikiの見る方が便利なので無意味、となってしまっている。

スキル効果段階を細かくして1装備部位で必ず発動するようにしたというシステム変更は、目新しくて装備構成を考える楽しみもしっかりある良い変更だと思う。
試行回数を重ねる以外目的のものを手に入れる方法がないランダムスキル発動アイテムは相変わらずあるが、入手方法が炭坑夫ではなくモンスター討伐に変わったことはまあ評価できる。

ストーリーについては無駄に長くて痕跡探しも面倒。基本的にモンハンのストーリーに期待してる奴なんて居ないと思うので、何も考えずにキークエストを受けてればストーリーが進むだけでよかった。

UIはトータルデザイン責任者が不在だったんじゃないかと疑うレベルで酷いところがある。状況によってクエスト開始の位置が上だったり下だったり、同じ場所への移動がメニュー上にあったり下のほうにあったり、統一が取れていないのは完全に失敗である。聞いた話によるとアップデート前は「すべて受け取る」ボタンも無かったとか。
あと回復薬を飲んだあとのガッツポーズはユーザの声を取り入れて削除されたが、代わりに気絶後に頬をパンパンする動作が追加されていたりして、開発側が本質的には不満を取り除く気ゼロなんじゃないかと不安を感じさせる。

その他細かい感想。
・オプションが豊富で、過去シリーズで慣れているキー配置・カメラ操作にできる配慮はうれしい。
・エンドコンテンツの歴戦個体は変に肉質固くなくていい。
・フィールドに設置してある楔虫を使ったワイヤーアクションは素晴らしい。楔虫はいまの2倍は配置してよかったと思う。
・ファストトラベルはいいが、それなら上位のランダム着地はいらなかった。